★森アーツセンター:大エルミタージュ美術館展    
   ★森アーツセンター:
大エルミタージュ美術館展
オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
【今回も東京で時間があったので、六本木に出かけた】
【展示作品は85点あったようだ。なかなか頭に画像は残らない】
【HPに紹介されている作品だけ記録する】

http://hermitage2017.jp/

http://hermitage2017.jp/works

 
 
 
   【PROLOGUE プロローグ】
18世紀後半にロシア帝国を統治し、その拡大と強化に貢献した女帝として知られる
エカテリーナ2世は、

エルミタージュ美術館を世界有数の大美術館に育て上げた人物でもあります。
展覧会の冒頭を飾る絵画は、そのエカテリーナ2世の戴冠式の姿を描いた肖像画です
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《01》
ウィギリウス・エリクセン《戴冠式のローブを着たエカテリーナ2世の肖像》

エカテリーナ2世の戴冠式は1762年、33歳の時で、以後30年以上の治世が続く。
ロマノフ家の双頭の鷲をあしらった豪華な衣装に身を包んでいるが、
モデルは女帝とあって画家の視点は低く、つまり下から見上げるように取られている。
濃い赤の頬紅はロココ時代の流行であった。
1760年代 油彩・カンヴァス
 
 
 
   【第1章】
イタリア:
ルネサンスからバロックへ

ルネサンス時代、イタリアはヴェネツィアなどの経済的な繁栄と文化的な成熟を背景に、
世界における美術の一大中心地として数多くの芸術を生み出しました。
本章では、ルネサンス時代の性格をよく伝えるティツィアーノの肖像画から、
劇的な効果を強調して身近な現実を描くバロック絵画、
さらには18世紀に活躍した「都市景観図(ヴェドゥータ)」の画家たちまで、
西洋絵画の出発点たるイタリア絵画の世界をご覧いただきます。


《02》
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《羽飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像》

モデルの顔立ちは有名な《ウルビーノのヴィーナス》(フィレンツェ、
ウフィツィ美術館)のそれに近く、かつてはティツィアーノの恋人を描いたのでは、
ともいわれた作品。
白いダチョウの羽飾りのついた帽はボーイッシュな印象で、
彼女はここで男性用の帽子を借りて男装を楽しんでいるとの説もある。


1538年 油彩・カンヴァス

《03》
ポンペオ・ジローラモ・バトーニ《聖家族》
バトーニは「イタリア最後のオールドマスター」と呼ばれた18世紀の画家。
色白のうら若い聖母と幼いキリストが、他の誰よりも明るく輝いている。
キリストに手を差し伸べているのは聖アンナ(聖母の母)、
聖母が左手で抱えているのが洗礼者ヨハネで、
初老の父ヨセフは脇でこの様子を見守っている。


1777年 油彩・カンヴァス 
 
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   【第2章】
オランダ:
市民絵画の黄金時代
レンブラントやハルスといった巨匠たちが登場した17世紀オランダは、
驚くべき質と量の絵画が制作され「黄金時代」と呼ぶにふさわしい充実した時代を成立させました。
富裕階級だけでなく一般市民にも愛好され、
平易で親しみやすい室内画や風俗画、風景画、静物画などの世俗的なジャンルが独立していったのも当時の特徴です。


《04》
カナレット (本名ジョヴァンニ・アントニオ・カナル)
《ヴェネツィアのフォンダメンタ・ヌオーヴェから見た、

サン・クリストーフォロ島、サン・ミケーレ島、ムラーノ島の眺め》

ルネサンス以降、自然風景に限らず都市という人工的な空間もテーマとして描かれるようになった。都市風景がひとつのジャンルとして確立されるのは17世紀のオランダだが、
その流れを引くのが18世紀のカナレット、ベロットなどに代表される本作のような
「都市風景(ヴェドゥーダ)」である。


1724-1725年 油彩・カンヴァス

《05》
フランス・ハルス《手袋を持つ男の肖像》

17世紀のオランダ絵画は「黄金時代」と呼ぶにふさわしく、肖像画、静物画など絵画ジャンルの専門化が進んだ。オランダでレンブラントに引けを取らない人気を博したのが、フランス・ハルスである。ここでは富裕な男性市民の誇りと自信に満ちた表情を見事にとらえている。

1640年頃 油彩・カンヴァス
 
《06》
レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《運命を悟るハマン》

ハマンはペルシャ王クセルクセスの右腕だったが、ユダヤ人嫌いで、
王妃エステルがユダヤ人だったことから王の不興をかい、極刑を科される。
前面にいるのが自分の運命を悟り、観念したハマン、
後方には彼を見送るかのようなクセルクセスと別の部下が描かれている。


1660年代前半 油彩・カンヴァス

《07》
ピーテル・デ・ホーホ《女主人とバケツを持つ女中》

フェルメールに並び室内画、風俗画で有名なデ・ホーホによる戸外での
日常生活のひとコマを描いた作品。心のどかな午後のひととき、
画面中央に座る女主人と、今夜の食卓に乗せる魚を見せる女中が描かれている。
巧みな遠近表現がなされている点もデ・ホーホらしい。


1661-1663年頃 油彩・カンヴァス 
 
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   【第3章】
フランドル:
バロック的豊穣の時代

17世紀フランドルは、北方バロック最大の巨匠にしてバロック絵画の権化とも呼ぶべき
ルーベンスとその工房が圧倒的な影響力を発揮した時代です。
そこでは数多くの弟子たちとの工房制作によって、宗教画から肖像画、
神話画にいたる様々な分野の絵画が生み出されました。


《08》
ピーテル・ブリューゲル(2世)(?)
《スケートをする人たちと鳥罠のある冬景色》


描かれるのはブリューゲルの祖国の典型的な農村風景で、厳寒に耐えながら、
それに負けず、アイススケート、アイスホッケーなどを
楽しむ民衆の姿が生き生きと描かれている。
画面右手の枯れ木と、その枝にとまった黒い烏はいわば冬の「季語」である。


1615-1620年頃 油彩・板

《09》
ペーテル・パウル・ルーベンスと工房《田園風景》

牧歌的とは田園の羊飼いの世界を思わせるのどかな世界を意味するが、
同時に村娘といちゃつくというニュアンスもある。
ルーベンスのこの絵はまさにその光景を描いたもので、本来は教養ある都会人だが、
フランドルの田園、農村地帯にも馴染んでいたルーベンスらしい作品のひとつである。


1638-1640年頃 油彩・カンヴァス

《10》
ヤーコプ・ヨルダーンス《クレオパトラの饗宴》

クレオパトラにまつわる伝説で特に有名な場面のひとつ「饗宴」が描かれている。
クレオパトラの饗宴に招かれたローマの将軍アントニウスはその盛観に圧倒されるが、
クレオパトラは世俗の財宝、富には頓着しないことを見せるため、
高価な真珠の耳飾りを外してそれをワイングラスに入れて溶かし、
そのワインを飲んだという。


1653年 油彩・カンヴァス

《11》
ダーフィット・テニールス(2世)《厨房》

魚をはじめ、様々な食材が無造作に置かれ、奥には調理のための火も見えるが、ここはまた犬たちの天国にもなっている。画中の人物とも折り合いは悪くなさそうだが、いつ「悪さ」を始めるとも限らない。一見、写実的だが、鳥獣戯画的な面白さも兼ね備えた絵である。

1646年 油彩・カンヴァス
 
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   【第4章】
スペイン:神と聖人の世紀

17世紀スペインは、諸外国の影響から脱し、スルバラン、ムリーリョ、リベーラ等による
スペイン絵画の「黄金時代」を迎えます。
対抗宗教改革の影響のもと、
人々を禁欲的で敬虔なカトリック信仰に導く宗教美術が推進されました。
孤児や庶民に多く取材をしたムリーリョはその代表格で、
市井の人びとに信仰の精神を伝えました。


《12》
フランス・スネイデルス《鳥のコンサート》

それぞれの鳥を何かの楽器に見立てれば、鳥類の賑やかなホームコンサートである。
同時にこれはバロック時代の自然に対する科学的なアプローチを反映して、
鳥の生態を忠実に再現した鳥類図鑑の1ページのようにも見える。


1630年代-1640年代 油彩・カンヴァス
 
 
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   【第5章】
フランス:
古典主義的バロックからロココへ

ルイ14世治世のバロックは、プッサンの古典主義様式に由来し、
厳しい秩序と静謐で安定した絵画世界を追及しました。
続くルイ15世の治世には、ヴァトーに代表される、軽快で優美、
遊び心や郷愁を特徴とするロココ美術が花開き、
フランス美術は他のヨーロッパ諸国に対して圧倒的優位を誇ります。
プッサンからシャルダンまで、フランスの輝ける時代を彩る画家たちの作品をご覧ください。

《13》
フランシスコ・デ・スルバラン《聖母マリアの少女時代》

スルバランは宗教画家として活躍したスペインの画家であり、
徹底したリアリズムとカラヴァッジョ風の劇的な明暗表現による
峻厳な聖人や修道僧の絵でよく知られる。
それだけにこの作品に描かれる愛らしくも敬虔な幼いマリア像は、
この画家としては異例ともいうべきものである。


1660年頃 油彩・カンヴァス
 
《14》
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《幼子イエスと洗礼者聖ヨハネ》

幼いイエス(左)と抱き合っているのは、後にイエスに洗礼をほどこす聖ヨハネ。
その右で天使たちを仰ぐ子羊は、やがて人類の犠牲となって十字架につくイエスの、
また、左手前の果物も楽園のアダムとイヴが犯した「原罪」と、
これを償ったイエスのシンボルである。


1660年頃 油彩・カンヴァス

《15》
アントワーヌ・ヴァトー《困った申し出》

ロココ絵画の創始者ヴァトーは、フェート・ギャラント(優雅な宴)
と呼ばれるジャンルを生み出したことでも知られる。
フェート・ギャラントとは上流階級の紳士淑女の優雅な恋の場面を描いたもので、
本作では「攻め」の男と、今ひとつ煮え切らない女性の微妙かつ軽妙な
心理的な駆け引きが描かれている。


1715-1716年 油彩・カンヴァス

《16》
ジャン=バティスト・シメオン・シャルダン《食前の祈り》

食事を前に手を合わせる妹と、すでに祈りを済ませた姉、
それを優しく見つめる母親という一般的な市民家庭の日常のひとコマを描いた作品。
整理整頓された清潔な室内も彼女が良き母、妻であることを物語る。
ルーヴル美術館にほぼこれと同じ絵があるが、
床に置いた卵料理のフライパンはルーヴルの絵にはない。


1744年 油彩・カンヴァス
 
《17》
ジャン=オノレ・フラゴナールとマルグリット・ジェラール《盗まれた接吻》

接吻を盗まれた女性は抵抗らしい抵抗もせず、むしろ青年の方に身を寄せている。
彼女が気にしているのは、視線の先(画面右)の隣室にいる人々に
気づかれないかということ。
フラゴナールと、彼の義理の妹で弟子だったマルグリット・ジェラールとの
共作説が有力である。
ドレス等に見られる克明、繊細な細部描写はマルグリットによるものとされる。


1780年代末 油彩・カンヴァス

 
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   【第6章】
ドイツ・イギリス:
美術大国の狭間で

16世紀、ドイツは宗教改革が引き金となった混乱の中、
人文主義(ヒューマニズム)と宗教改革の影響を受けて活躍するクラーナハ等の
北方ルネサンスの重要作家が登場します。
他方16、17世紀のイギリスは、清教徒革命などによる情勢不安が続く中、
絵画もフランドルなど他国の影響下にありました。
しかし18世紀初頭、イギリス絵画の質は次第に向上し、
ゲインズバラのような優れた肖像画家を輩出しました。


《18》
ルカス・クラーナハ《林檎の木の下の聖母子》

聖母の切れ長の目、ややとがった顎、長く美しいブロンドの髪などは、
画家の他の聖母にも見られる特徴である。
こちらを見ている幼いキリストはリンゴとパン切れをつかんでいるが、
パンはキリストが「最後の晩餐」で自らの体と見たもの(「聖体」)であり、
リンゴとともにキリストによる救済のシンボルである。


1530年頃 油彩・カンヴァス

《19》
トマス・ゲインズバラ《青い服を着た婦人の肖像》

半ば開いた口元とともにその目は何かを語りかけるかのようであり、
タイトルにある青い衣、白く透き通るような肌、赤みのさした頬などの色彩的なバランス、
調和も傑作の名に恥じない。
今日から見れば多少「やり過ぎ」の感もある頭部の派手な
ファッションも当時の流行であった。


1770年代末-1780年代初め 油彩・カンヴァス

 
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